現在、10組の夫婦のうち、1組は不妊症として悩んでいるとされています。
不妊というと、女性の問題として考えられがちですが、不妊は男性が問題である場合も少なくなく、「不妊の基礎知識-不妊症の原因」でも触れていますが、今では不妊の原因の半分は男性にあるとされています。
その為、不妊は女性だけの問題ではなく、男性も検査を受けるなど夫婦二人で一緒に取り組むべきことです。
不妊症の原因の一つにセックスレスがあります。
セックスレスというのは1カ月以上夫婦の間で性交渉がない状態と定義されており、今現代人の特徴としてセックスレスの夫婦は増えているのが特徴です。
背景には、性欲の衰える時期には個人差がありますが、性欲を司る男性ホルモンの分泌量は、20代をピークに、30代から徐々に減少傾向となります。
性欲が衰え始める30代での結婚も珍しくない現在では、結婚してもあまりセックスをしたくない状況だったり、いざしようと思っても勃起しなかったりと、さまざまなトラブルが起きています。
セックスレスになれば、必然と自然に妊娠することが困難になります。
セックスレスというのは不妊の原因の中でも体には何の問題もありません。
妊娠したいという気持ちはあっても精神的な原因からセックスができずにいて、それが不妊症を招いていることになります。
男性不妊には先天性と後天性のものがあります。
先天性の男性不妊の原因は、様々な遺伝的要因や、
発育段階で受けた影響等で、性機能不全になるものです。
性機能不全とは、性的欲求や性的興奮とその最高潮などが、減退・欠如する状態をいいます。
勃起障害(ED、勃起の状態や持続時間が不十分で性行為が行えない又は不十分な状態)、早漏(射精が早期に生じ、性行為に満足を得られない)、オルガスムス障害・遅漏(オルガスムスに達ない、又は時間がかかりすぎ、射精困難で満足が得られない)等があります。
後天性の男性不妊の原因は、ストレス、アルコール、喫煙、肥満・糖尿病、病気や薬の影響、精巣の損傷もしくは機能障害、精子の産出あるいは射精に関するトラブルなど様々なものが考えられます。
造精機能障害
男性不妊の原因の約90%が造精機能障害です。
精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれない状態です。
精巣や内分泌系(ホルモン分泌等)の異常が障害をひき起こします。
一度の射精で精子の数は数億とされております。
そのうち、子宮の前で99%が死滅し、子宮には数十万以下となり、卵子の周囲まで到達できるのは数百以下とされています。
そのため精子の数が少なかったり、運動性に乏しい場合は卵管に到達する精子が減り、妊娠しない原因となります。
造精機能障害には下記のような種類があります。
| 無精子症 | 造精機能障害の中でも重い症状です。精液中に精子が一匹もいない状態ですが、精巣や精巣上体に精子が存在していれば、顕微授精などの不妊治療で受精・妊娠することが出来ます。 |
| 乏精子症 | 精液の中に精子はいるけれど、その数が少ないという症状です。精子の数が基準を少し下回る程度であれば、タイミング法などを行います。さらに精子の数が少ない場合、人工授精、体外受精、顕微授精等の不妊治療を行います。 |
| 精子無力症 | 精子の数は正常にあるけれど、製造された精子の運動率が悪い症状です。その精子の状態により人工授精や顕微授精などの不妊治療を行ないます。 |
男性不妊のその他の原因と種類
| 精索静脈瘤 | 陰嚢内の温度が上がる等から精巣の発育不全などを発症し、 精子形成に悪影響を与える |
| 閉塞性無精子症 | 精子の通り道である精管の一部がつまる等癒着しているため、 精子が運ばれずに、精液のなかに精子いない状態 |
| 先天性精管欠損 | 生まれつき精管が備わっておらず、 精子は精巣内に閉じこめられた状態 |
| 膿精液症 | 前立腺や精嚢等の炎症により、精液中に白血球が増え、 精子の運動率を低下させてる状態 |
| 無精液症 | 精液が造られない状態 |
| 逆行性射精 | 精液が尿道に送られずに膀胱に逆行する状態 |
| 勃起不全(ED) | 性交時に十分な勃起が得られない、あるいは 十分な勃起が維持できない、満足な性交が行えない状態 |
| 膣内射精障害 | 膣内で射精することが困難になる状態 |
精子の数については、自然の妊娠にはやはりある程度の数が必要です。ただ、数と受精率が比例するかというと、そうではありません。
また、同じ人で何回か検査すると所見ではばらつきが大きく、精液の検査は、実は不安定で不正確なものなのです。WHOでも1ml当たり2000万以上で運動精子率50%という数値を出していますが、正常値としないようにと断り書きをつけています。
さらに今は、顕微授精によって、無精子症の人も、手術で睾丸を切ってみて、精子を1匹でも取ることができれば受精卵を得ることが可能です。500人に1人くらいいるといわれるクラインフェルター症候群の人でも丹念に精巣の中の精細管を探すと精子が見つかることがあって、精子さえ見つかれば妊娠できます。私のクリニックでも出産例があります。
顕微授精は、男性不妊にとっても大きな福音です。10年前なら不可能だった問題も、ほとんどがクリアできるのが今の時代なのです。
当クリニックで行っている男性不妊の検査には以下のようなものがあります。
| 精液検査 | 精液中の精子の数や運動精子の数(運動率)を調べます。 |
| 染色体検査 | 採血により染色体異常を調べます。 |
| ホルモン検査 | 精巣の機能を調べます。(FSH、LH、テストステロン) |
| 抗精子抗体 | 精子に対する抗体が血液中にあるか調べます。 |
| Y染色体検査 | Y染色体について詳しく調べます。Y染色体上の無精子症関連領域の遺伝的欠失について調べます。 |
| AMH (アンチミューラリアンホルモン) |
男性不妊にかかわる生殖細胞の指標となると思われるホルモンを調べます。 |
| 感染症管理 | 血液や精液を扱うために感染症関連検査をします。 B型肝炎(HBs抗原)、C型肝炎(HCV抗体)、エイズ(HIV抗体)、梅毒(RPR法、TPHA法) ※こちらの検査は男性患者さまに受けていただく検査となります。 |
| HTLV | ヒト成人T細胞白血病の原因となるウイルスの検査をします。 ※こちらの検査は男性患者さまに受けていただく検査となります。 |
| 術前検査 | 精巣上体精子回収法(MESA)、精巣精子回収法(TESE)、顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)手術前に行います。 ①末梢血液検査・・・貧血と血球成分を調べます。 (白血球数、赤血球数、Hb、Ht、血小板数) ②血液凝固検査・・・止血の働きを調べます。(PT,APTT) ③生化学検査・・・・・内科的疾患の有無を調べます。 (生化学11項目) ※こちらの検査は手術を行う場合、手術前に受けていただく検査となります。 |
泌尿器科専門医による外来、及び精巣精子・精巣上体精子採取を、毎週月曜日の午後に行っています。
※男性不妊外来については名古屋駅前クリニックのみの取り扱いとなります。